代表 舘 恭志さん
佐渡ビジネスコンテスト2022
受賞されたビジネスプランをご紹介ください。
薬膳の飲食店をベースに、婚礼・婚活・イベントなどのプロデュース事業。
事業概要としては「婚活事業・ブライダル事業並びにその付随事業を展開し、同事業を通して島内未婚者の減少、来島者増大ひいては移住者の増加に貢献する。」と言うものです。
最初は、妻・倫子のライフワークである婚礼事業を軸に事業計画を立て始めました。最近の傾向で挙式の少人数化・国内リゾ婚・アウトドア婚・フォトウェディングなどのニーズに対して、佐渡はそのポテンシャルを存分に活かせる地だと思いました。しかしマーケティングを進めていく中で、島内の特に男性の未婚率が高いことが分かってきました。「まずは婚活が必要じゃないか?」と言うことで、婚礼と同じボリュームで婚活も事業計画に取り入れることになりました。
ただお見合いパーティやマッチングイベントを行っても、成立したカップルが長続きしないこと。また、そう言う身構えたシチュエーションでの出逢いに抵抗がある人も多くいることから、「自然な出逢い」を演出するスタイルを考えました。島内男性たちと島外の女性をマッチングすることで、交流人口増加や移住促進に貢献もできると考え婚活スキームを構築することにしました。
島内男性には、島外女性のハートを射止めるためのスキルを身につけるセミナーなどイケメン化計画を。島外女性には、まず佐渡そのものを大好きになっていただきたいと提携旅行会社さんと佐渡女子旅ツアーによる集客を。その両者を繋ぐ場所が、メレパレカイコと言う位置づけにしました。島の観光やアクティビティを活用し、島内男性が自分の得意な分野で島外女性をアテンドする形をとることで「自然な出逢い」が演出でき、シャイな男性も自信をもって接することができるメリットがあります。
即座にカップル成立を目指すのではなく何度も島に訪れてもらい、お互いの距離感を少しずつ近づけていくことを目的とします。連絡先交換も気が引ける場合には。メレパレカイコが間に入って連絡を取り合うことが可能となります。また男性女性に関わらず悩みごとや心配ごとなど、随時相談を受けることもできます。行政主導や1回きりのお見合いパーティなどの婚活では、なかなかマッチングからの成婚率を上げていくことが難しいため、メレパレカイコがハブとなることできめ細かい「おせっかい」をやくことが可能となります。
以上の「婚礼と婚活」を主軸とした事業において、飲食店も並行して展開します。婚活においては交流サロンとなり、時にウェディングの会場としても使える店舗が必要となるためです。
佐渡ビジネスコンテストへ応募したきっかけを教えてください。
ビジコンと言えば、デジタル関連の最先端を行くような事業モデルが競い合う場で、我々のやろうとしていることは“超”がつくようなアナログ事業。最初は全く応募するつもりなど毛頭ありませんでした。雇用拡充助成金の申請を進めるにあたり、もしビジコンで入賞すれば助成金審査で10点の加点が入る「課題解決型」もあるとの情報もいただき、我々の事業は充分それに当てはまると色々な方々から強く背中を押されたことから応募を決めました。
コンテスト本選審査へ進まれる中で課題などはありましたか?
事業内容そのものは特に大きな加筆修正等を加える必要はなかったのですが、何分ビジネスコンテストに参加すること自体が初めての経験でした。サラリーマン時代のプレゼンと言えば会議室のような所で対クライアントの経験しかなく、広いホールで審査委員の皆さんや不特定多数の聴衆を前にするプレゼンは初めてでした。勝手もよく分からず若干の緊張もありましたが、永年ライブを演ってきたステージ上でのクソ度胸だけを携えて出たとこ勝負で臨みました。
コンテスト後のNEXT佐渡のフォローアップなど、その印象や感想を教えてください。
まずは事業計画の段階で、やりたいことはいっぱいあるだろうが肝となる分野を絞り込んでプレゼンした方が事業内容の輪郭がハッキリするという戦術的な助言や、我々の事業特性をご理解いただいた上で段階を踏んで3年での黒字化を目指す方が良いなどと、計画をブラッシュアップしていく上での貴重なアドバイスをいただけました。
また別の省庁から出る助成金などを活用することで、今後の事業に対して有益となりそうな情報の提供もあり大変ありがたかったです。
なぜ佐渡で事業を展開されようと考えたのでしょうか?
妻の倫子の想いは、永年従事してきたブライダル事業の集大成として「心温まる田舎ウェディングの確立」であり、私自身は定年を目前に控えセカンドライフをどう過ごすか?と言うことから、「音楽と共に暮らしたい」と言う想いでした。また二人の共通した意向としては、海の近くに住みたい。それも本土ではなく島で。
新潟県は、他県3県分に匹敵する長さをもつ海岸線があります。それも悪くはないのですが、どうせなら、あえて船に乗らないと行けない“島”が良いと考えました。希望する物件を探しに、何度も佐渡へ渡り、ようやく理想的な場所に巡りあえました。また、その間に様々な人たちと出逢い色々な話を聞くことができたことで、「婚活」と言うヒントも得ることができました。
やがて今まで以上に佐渡が大好きになり、ここで事業を始めたいと言う気持ちがさらに強くなりました。
佐渡で事業展開することのメリットや魅力とは何がありましたか?
佐渡全体のメリットでお話しすると佐渡は海がある、山があるという立地をほかのエリアに比べて最大に活かすことができる“島”という資源を活かせることにあります。日本の縮図ともいわれる佐渡島は観光にも自然に関すること、食に対してもその資源は豊富です。そして昨今、移住者が増え産業の分野でも島内で創れる財源が生まれています。そしてそのサポートも手厚い。移住者、ビジネスをしようと考える人たちにはチャレンジが最大限のマインドでできるのではないでしょうか。
最後に、これから佐渡ビジネスコンテストに応募される方、
または応募を検討されている方へのメッセージをお願いします!
メレパレカイコの受賞は、昨今のDXなど先進的なデジタル関連でも何でもない中年夫婦が計画した超アナログな事業にも、門戸を開いて審査対象にしていただけると言う一つの事例となったように思います。
そして手つかずの自然と共に、本土では普通にある事業でも島では手つかずの事業が数多くあると思います。ほんの少し切り口を変えたアプローチで、島用にカスタマイズして展開できる事業がまだまだあるような気がしています。
行政ならびに関連団体などからも、起業のための手厚いサポートもあります。地元の方々も応援してくれる佐渡島は、これから何かを始める人にはとても適した場所だと思います。地域の皆さんとご一緒に、佐渡からの新しい風や波を興してみては如何でしょうか?