INTERVIEW

佐渡ビジネスコンテストでは、参加者が様々なビジネスモデルを提案し、その優劣を競い合います。

優秀なビジネスモデルと認められると補助金やフォローアップが受けられるため、起業を目指す方にはこの上ないチャンスです。

実際に佐渡ビジネスコンテストに参加され、見事入賞を勝ち取られた方々のインタビューをぜひご覧ください。

mint govtech 株式会社

代表取締役    田村 健太郎さん

佐渡ビジネスコンテスト2021

受賞されたビジネスプランをご紹介ください。

誰でもオリジナルのポイントを発行しファンや常連さんに送ることができるアプリ「mint」の開発と運用

地域のDX課題、特にエンドユーザーの会員化・囲い込み・ファン化に関連する課題に対して、自社保有SaaSと他社SaaSを組み合わせながら、安価かつ高速で解決するシステムを活用したソリューションを提供しています。

これらの課題に関しては、従来以下のようなアプローチが考えられていました。

  • ①課題を持つ企業が、自社でSaaSを選定・契約し、課題解決に使えるように設定する
  • ②解決したい課題をITベンダーに相談し、ゼロからシステムを構築する

地域のDX課題は、大枠では他でも類似の課題がありながらも、どうしても地域特有の独自課題が発生しがちです。それらに対応したSaaSのカスタマイズを担当者の方が自分で行うのは難易度が高く、ゆえに①のアプローチは頓挫しがちです。
大規模な予算がある課題については②のアプローチでも成立しますが、ほとんどの場合予算・期間などの問題から、地域のDX課題を②のアプローチで解決するのは難しい状態でした。

当社は

  • 他社SaaSと自在に連携可能な、会員管理システムに特化した自社SaaS
  • 他社SaaSや他社SNSと自社SaaSを連携するミニプログラム群

これらを武器に、地域のDX課題のヒアリングから、採用するSaaS群の選定、ミニプログラム群を活用したノーコード(コードを書く必要がない)でのシステム連携、プロダクト公開までを一気通貫で行う体制を整え、地域DX課題解決に特化したシステム開発のコスト構造を大きく変革することに成功しました。
これにより、「地域特有の課題に対応したカスタマイズ」「担当者がカスタマイズ労力を割く必要がない」「②のアプローチより圧倒的に低工数」な地域DX課題解決ソリューション提供を実現する、というのが当社のビジネスモデルの根幹です。

佐渡ビジネスコンテストへ応募したきっかけを教えてください。

もともと友人が佐渡に移住を既に行っており、友人に会いに何度か佐渡を訪れる中で、NEXT佐渡で事業相談に乗っていただいておりました。そんな中で本コンテストの情報を知り、若いIT事業者が佐渡に急増する流れを感じ、興味を持ったのがきっかけです。
元々リモートワーク中心の生活を行っていた中で、チームを都心に集中させる必要が薄かったのも理由の一つになりました。

コンテスト本選審査へ進まれる中で課題などはありましたか?

本ビジネスプランの構想は以前からありながらも言語化はできておらず、実現するためのプロダクト開発に集中していたため、審査員の方にわかりやすく理解してもらう説明や資料を作るのに難儀しました。NEXT佐渡のフォローアップによりブラッシュアップを何度も行うことができたことが、本選に進み、入賞することができた大きな要因でした。

コンテスト後のNEXT佐渡のフォローアップなど、その印象や感想を教えてください。

佐渡島内での事業展開、とりわけ拠点設置や事業者間連携においてはまったく知見がない状態で始めましたが、NEXT佐渡によるフォローアップを受けることで、佐渡島在住経験がない中でもゼロイチの立ち上げをスムーズに行うことが出来ました。島外から来た人間が事業を興すというのはあまり歓迎されないことが一般には多いかと思いますが、ここではまったくそのようなことなく仲間に入れてもらうことが出来ました。

自治体がスタートアップを応援しているケースは他にも多くありますが、市長をはじめとしてトップレベルの方々が直々に応援してくださっていて、それも島外から来た余所者である自分のような存在も分け隔てなく接してくださっているのは、NEXT佐渡チームを中心に今まで積み重ねられてきた組織文化によるものであるように感じています。

なぜ佐渡で事業を展開されようと考えたのでしょうか?

NEXT佐渡をはじめとした支援チーム、エンジニア教育事業の多さ、事業誘致の積極性などから、今後もITと親和性が高い若者が集うことが期待されると考えました。その流れがまさに始まろうとしているタイミングで関わらせていただくことに興味を持ちました。

佐渡で事業展開することのメリットや魅力とは何がありましたか?

当社の強みは、他社システムとの連携を実現するためのミニプログラムの蓄積です。これを増やすには「たくさんの地域課題に接して、その解決アプローチを考え、ミニプログラムを作り、フィードバックを受ける」サイクルを増やしていくのが最短であると考えています。

佐渡では地域課題の解決にコミットしている若者も多く、課題が顕在化しやすい状態にあると考えます。上記サイクルを最速で回していくには、とても良い環境と考えます。

また、同じタイミングで島外から事業所を設置するIT事業者がたくさんいること、エンジニア教育プログラムを通じた人材誘致が積極的に行われていることなども大きな魅力であると感じます。自治体や議員さんなどのITリテラシーもとても高く感じられ、街全体がIT事業の立ち上げに向いた環境に日々進化しているのを感じます。すでに人間関係やヒエラルキーが硬直した既存のIT集積都市で事業を始めるよりも、このような成長速度が早い街で事業をはじめるほうが、変に周りと比較して浮足立つことなく、それでいながらも理解ある仲間や知人に囲まれて、心穏やかに事業の立ち上げができるのではないか、という空気を感じています。

佐渡島自体への注目が日々高まりつつあるのも大きな魅力の一つです。豊かな自然に恵まれていることもあり、若者を中心にUIターンがとてもよい速度で進んでおり、新しい試みをしたときに使ってくださるリテラシーが高い、積極的な方がたくさんいる環境ができつつあるように捉えています。

最後に、これから佐渡ビジネスコンテストに応募される方、
または応募を検討されている方へのメッセージをお願いします!

佐渡ビジネスコンテストへの応募を検討しはじめてから、たくさんの地域課題や既存アクションなどを学ばせて頂き、その結果としてビジネスプランのブラッシュアップが大いに進んだと感じています。これは東京にこもっていては出来ない体験でした。

審査員の方も、スタートアップの事業に対する知識と理解が深くある方が揃っていらっしゃる印象で、コンテスト中の質疑応答の中で学ばせて頂けること、発想が深まったことがたくさんありました。この点はほかの類似のビジコンとは圧倒的に異なるところであったと感じています。コンテスト入賞特典としてその後も一部の審査員の方とはコミュニケーションを取らせていただいておりますが、このように関わる人たち皆さんが積極的にこのムーブメントを応援頂いていて、それが有効に作用している状態というのは、私が知る限り他の地方ビジコンにはほぼ存在しないものであると考えます。

コンテストでどのような評価を受けたとしても、この体験はここでしかできないものであったと感じています。ビジネスプランのブラッシュアップを行うという観点だけでも、ビジコンへの応募を検討する価値はあると思いますので、その観点から応募を検討いただくこともおすすめします。